
赤ちゃんが産まれたら、夫と仲良く子育てするものだと思っていたのに、現実は気が利かない夫にイライラさせられっぱなし……。
夫婦仲に思いもよらなかった亀裂が入り、産後クライシスを迎えることは、誰にでも起こりえます。
では、そのまま離婚を迎えてしまう夫婦と、そうでない夫婦は何が違うのでしょうか?
今回は、心理学博士である筆者が、産後クライシスを乗り切るためのコツについてお話していきます。
■長く続くカップルは、会話の割合が1:5
夫婦関係の研究の第一人者、ワシントン大学のジョン・ゴッドマン博士は、夫婦の会話を分析し、その結果、長く続くカップルは、パートナーへの「否定的な会話」と「肯定的な会話」の割合が1:5で、別れてしまうカップルの会話は、1:1程度であったことを明らかにしました。
つまり、パートナーに対して、思わず否定的なことを言ってしまうことがあったとしても、日頃、その5倍あたたかい会話があれば大丈夫であることが分かったのです。
もし、夫にどうしてもダメ出ししたいのであれば、5つの肯定的な言葉を心がけるようにすると、いいかもしれません。
でも、こんな調査があるからといっても、夫婦関係の危機に、肯定的な会話や感謝、ほめることをしなくてはいけないのかと思うと、正直憂鬱になってしまいますよね。
そういう時は、どうすれば良いのでしょうか?
■産後クライシスの原因は本当に夫婦関係にあるの?
筆者も産後クライシスをしっかり体験したので、よく分かります。
夫との会話がなくなり、いらだちのために、結婚指輪を投げつけたり、ドアを蹴って穴をあけたりしました。夫は、さぞ恐ろしかったことでしょう。
実は筆者は、産後クライシスの原因は夫婦関係ではないと考えています。
児童虐待と同じく、問題の核は、ママが孤独に、高いストレスにさらされていることなのではないでしょうか。
■産後のママは体内・環境の激変にさらされる
産後のママは、生理的激変・環境的激変にさらされます。
(1)ホルモンバランスの変化
(2)睡眠不足
(3)生活の大きな変化
(4)慣れない育児
(5)物事が自分の思った通りに進まないストレス
(6)孤立
この時期、身近な夫や実母・義母、第1子に対してイライラが起こってしまうことは、ストレスが限界を超えているという、心と体からの緊急アラームなのです。
夫婦関係の改善よりもまずは、以下のことを心がけるようにしましょう。
(1)睡眠をとる
夜に何度も起こされたときは、赤ちゃんと一緒に昼寝をする。
(2)栄養をとる
どんなに育児が大変でも、1日に1回はバランスの取れた食事をしっかりと取る。
(3)適度な衛生を気を付ける
つい「面倒だな……」と思ってしまっても、お風呂には毎日入る。
(4)子育て仲間に会って、悩みや夫のことをおしゃべりする
ママ友との集まり、赤ちゃん連れの習い事などに最低でも月に1~2回は出かける。
そのような場がない場合には、カフェでお茶をする、本屋での立ち読み、ウィンドウショッピングなど、赤ちゃんが生まれる前に習慣にしていた楽しみを月に数回して、気晴らしをする。
夫や親戚、託児や産褥シッターさんなど、使えるものはなんでも使って、自分を大事にする時間を定期的に作る努力をしてみてください。
「そんなこと言っても赤ちゃんを預けられないし……」なんて声も聞こえてきそうですが、定期的に心身の疲労を軽くするとこで、イライラが静まり、クライシスを何とか乗り切る力になります。
そう思えば、赤ちゃんや家事を誰かにお願いする価値は十分あると思いませんか?
夫婦関係のことは、それから考えるようにしましょう。
「子どもが生まれたから、夫婦の絆をもっと深めたい」そんな気持ちも分かりますが、このクライシスを乗り越えたら、絆は勝手に深まっているものですよ。
(山本ユキコ)
【参考・画像】
※ The roles of conflict engagement, escalation, and avoidance in marital interaction: A longitudinal view of five types of couples. – Gottman, John M.,Journal of Consulting and Clinical Psychology, Vol 61(1), Feb 1993, 6-15.
※ 児童虐待対策の現状と課題、その解決方向について – 才村純
※ 『出産・育児ママのトリセツ』
http://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20160921/ItMama_34350.html?_p=3


